東京や東京近郊にお住いなら、彼らのライブを観たことがあるという方が結構いらっしゃるかもしれません。
彼らのライブは常に、何というか、一言でいえば全てほとばしっています。最初から最後まで、もの凄い勢いでとばしていきます。そのザラにないほどのほとばしりようともの凄い勢い。ロックンロールバンドとしてのひとつの理想(むろんおれにとっての理想ですが)をまぎれもなく体現しているのがRANGSTEENのライブだというのがおれの意見です。
なぜそこまでやれるのか。それはRANGSTEENのロックンロールそのものが、やはりロックンロールに対するバンドの徹底した理想から生まれているからだとおれは思っています。
では彼らのかかげるロックンロールの理想とは何でしょうか。おそらくおれ自身の理想に等しいと仮定した上でこう考えます。
先日、酔っ払ったおれの友人がこんなことを言いました。「こんな世の中を救えるのは本物のロックンロールしかねえ」
こんな世の中…
怒りの皮をかぶった嫉妬や逆恨み、愛の厚化粧の向こうにまるっきり透けて見えるミもフタもなさ、優しさとは名ばかりのひとりよがり、ネット上にあふれるくだらない問わず語りをコミュニケーションと称し、カネのことしかアタマにない老若男女だけがやけに活き活きしているような…
こんな世の中…
バカ…
おれも酔っ払っていたので即座に同意はしたものの、「こんな世の中」をロックンロールが一体どうやって救ってくれるのかわかりませんでした。むろん今もわかりません。それでも、おれも思うのです。「本物のロックンロールがおれたちの世の中と人生をどうにか救ってくれる」と。
本物のロックンロールとは本物の狂気にみちた本物の楽しみだとおれは思います。つまりこれがロックンロールの理想です。
本物の狂気と本物の楽しさだけがニセの狂気とまやかしの楽しさをやっつけてくれるとおれは信じています。
RANGSTEENのぶちかます本物のロックンロールはここから生まれているのだと思っています。

FIFI / FIRESTARTER