2008年11月12日

"STAY FREE"レーベル始動

レーベルを始めようと思ったきっかけは、RANGSTEENという東京のロックンロールバンドとの出会いでした。数年前、自分が別にやっていたバンドでたまたま彼らと同じライブ企画に出たんですが、そのとき観て以来、おれは彼らのトリコになったのでした。個人的なことになりますが、おれはロックンロールが死ぬほど好きで、部屋でただ聴くのもいいですが、ライブでかっこいいバンドを観ながら、スゲースゲー言いながら大量にサケをくらうのが人生で何より一番好きなのです。おれがその夜初めて観たRANGSTEENのライブは、そういう意味でおれにはドンピシャなものでした。えらく飲んでひとり大騒ぎしてしまったのを覚えています。

おれは自分でもバンドをやっているので、ロックンロールに一番必要なものは何か?ロックバンドに一番必要なものは何か?とよく考えます。よく考えるというと言いすぎになりますが、たまに考えるにせよ、そのときはやはり自分なりに深く考えます。答えのようなものがあるなら、むろんそれを見つけ出したいからです。いまだにたびたび考えるというのは、ようするにまだ見つかっていないのです。それでも答えらしきものがアタマをかすめるときがあります。そのときは、かすめるのはアタマでも、どちらかといえば肌で感じるというのが近いです。

肌で感じた答えらしきものとは何かといえば、それは「すべてを残らずぶちこめているか?」ということです。あくまでも“らしきもの”を感じるだけなので、こういうわかりづらい漠然とした言い方になってしまいます。しかし、この“すべて”というのは何のすべてか、というのはおれとしても何とか説明がつきそうです。すべてとは、その時点までの自分(たち)という人間のすべてです。その時点まで生きてきた自分の来し方、自分なりの大小のつまづきや失敗、自分なりの小さな成功、世の中の様々な事柄や物事に対する愛憎と自分としてとる態度、むろん世にあふれる音楽と称するものに対する愛憎と態度、さらにはギターの弾き方、ドラムのたたき方にいたるまでのありとあらゆる自分のすべてです。そういう現時点までの「過去」のすべてを自分のロックンロールにたたきこめているか。そして可能ならば、ちょっと半歩先の未来までを入れてたたきこめているか。

自分や自分のバンドのことを思い返しても、なかなかこうはできていないのが現状ですが、以来何度もRANGSTEENのライブに足を運んで、そこで観て思ったのは、この人たちはそれをやれているな、やっているな、ということでした。そしてそれはおれにとって稀有なことでした。
また、一番肝心なことでもありますが、とにかくそうやって演奏される彼らのオリジナル曲が素晴らしかったのです。

ロックバンドにとって、自分らのこさえた曲なりアルバムなりが「永遠に残ること」を期待することほど恥ずかしいことはありません。ロックに限らないし音楽に限らないのかもしれませんが、永遠に残ることを欲するなどという態度はカスですし、そんな人間はそもそも大したものなど生み出すことはできないというのがおれの考えです。おれの好きなRAMONESTHE CLASHの数々のアルバムの素晴らしさはリリース後何十年経った今もまったく色あせぬわけですが、RAMONESTHE CLASHにしても永遠に残るものをこさえようなどと思ったわけではないでしょう。彼らはまさに折々のそれまでの「自分たちのすべて」をたたきこんで作っただけでしょう。しかしそれらが全く古びぬどころか、聴いているおれなどにとって「永遠に残りそう」な気配すらするのは、聴くたびにその並はずれたたたきこみようが曲自体の素晴らしさとあいまって何十年経とうが常に「新しいものとしてよみがえる」からです。

RANGSTEENの曲を聴いていると、おれは近いものを感じます。RAMONESTHE CLASHHEARTBREAKERSのような大きな存在が遺した「ロックンロールバンドとしてのありよう」の正しさを曲と態度の両面で感じます。これもまた肌で感じているというわけです。肌で感じているというのは、かっこよく言えば、おれの肌の下を流れるおれの「血」がそう言っているということです。

RANGSTEENの1stアルバム“DANCE IN HELL”は12月3日のリリースになります。

彼らが長年ライブでやってきた曲を中心に16曲が収録されます。新録のアルバムとしては曲数が多すぎるかもしれませんが、これもやはり「すべて残らずぶちこんだ」結果です。リリース元としておれ自身何度も聴き返していますが、バンドとしての半歩先の未来も入っていると思います。

魅力的なロックンロールバンドの音楽を聴いていると、目の前に地平線が開けてきます。おれ自身あまり好きな乗り物ではないですが、飛行機の窓から外をながめていると雲のすきまから肌色の空の向こうに水平線や地平線が見えてくる感じです。

RANGSTEEN“DANCE IN HELL”はそういうアルバムだと思います。

ぜひ聴いて下さいね。

FIFI/FIRESTARTER

sf3.jpg
posted by poorcow at 14:19| STAY FREE レーベル始動! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。