2008年11月26日

HIROSHI HELL(HIGH LIFE)による"DANCE IN HELL"全曲解説

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本来ロックンロールの「曲目解説」なんてもんは無くてよろしい(笑)。「のっぽのサリー」がどれくらいデカイかなんて秘密のままでいいからだ。手にした誰よりも早くセロファンを破り、颯爽とケースから取り出し、待ちわびてるCDプレイヤーのトレイに確実にセットされたか確認し、ディスプレイのカウントダウンを睨み、スピーカーにかじり付く。サウンドが鼓膜とノウに届いた瞬間、つい口走るのが「曲目解説」だろう。では、いってみますか!

1:最低デ最高
油断するとブレがちなチューナーを自動補正してくれる入り口。ずっと開かずの間だったロックンロールのドアが開くと聴こえてきた声。「最低デ最高」。この相反するコトバ、言い換えれば「N極デS極」。互いに引き付け合う磁力とビートの渦模様の磁場の中で、瞬時に狂う。タイクツな日常の肩コリに効果的な、100万ガウスのダンスチューン!

2:カッコツケキレズ
「アメニモマケズ カゼニモ〜」とある詩人は記したが(素晴らしいが)、心情として頷くのは何て事はない、オレもまたツケキレズ系だからだ。どんなゴキゲンな夢だって目が覚めてしまえば、どっかへ消えてしまう。イカすオンナと恋に落ちたところで、いつか消えてしまう(稀に消えぬ)。が、永遠に消えない夢も恋もある。そう、ロックンロールの世界にだけは。

3:FUN TONIGHT
オレたちが楽しめるのは、今となってはもう今夜しか残ってない。意地汚かろうが少々強引だろうが、何としてでも楽しむしか他に術はない。堰を切ってmattuがブッ叩けば、その亀裂から溢れ出すkojiのギター!ボトムから押し上げるmaruのベースに乗っかり、加速を続けるシャウト!下らん事でパンパンに膨れ上がったダムを決壊させるドリル・パンク!!

4:DANCE IN HELL
情報タップリ愛情サッパリな時代、踊る事が困難で踊らされてもいない。その不能っぷりの中で生き抜いていくには、本気の地獄に身を投じるのみ。本気の地獄とは何ぞや? 信じるアイを貫くハラをくくり、微笑む事だ。「オレたちは地獄の中でこそ踊れるんだ。キミとならばね。」byオレ訳。あるバンドは「JET」を信じ命を賭けた。オレは「HELL」に賭けていく。

5:PILLS
ここぞの処方箋。ロックンロール特効万能薬。でもマツキヨじゃ買えん。

6:SHAKIN'
彼らのライブを体感していつも思うのが、この曲の巧妙な手口と配置。この曲が終わる頃、ステップと、ノウを揺さぶり過ぎで平衡感覚を失う。ロックバンドなら一度はやりたくなってしまう曲調だけども(失礼だが)、簡単に手を出してしまうバンドを山ほど見て来た。しかもつまらんっ!!発想をシェイクし真実のみを抜き出し、「やっちゃいねえよ」とウソぶけ!

7:BABY NO CRY
とっくに終わったセイシュン時代だが、今オレは遅咲きの青春を満喫中。この曲が82年くらいに3枚連続でリリースされた例の12インチの続きを、あのバンドの遺伝子を含んだ高揚感をタップリ体感せてくれるからだ。誰も解らんでもいいさ。答えなんぞ知らんでいいさ。あぁ一人でも十分だ。寂しさのウラにビチーっと貼り付く怒り、これこそが「青春パンク」だよ。

8:MINUTES
出歩けばまず、くだらんつまらんなっとらん!なのが鼓膜を揺さぶる。雑音と呼ぶにも雑音に失礼だから、オレは「粗雑な音が苦」と名付けてる。おかげでノウ内アイpodがいつもフル稼働、買い替え時期ってなもんだ。分を重ねれば時となり、時を重ねれば時代となる。とは良くできた話だが、「粗雑な音が苦」の時代なんてまっぴら!素敵な音楽時代を迎えるんだ!

A面終了〜。ひょえ〜〜最高! B面1曲目は大切だからな〜、
どれどれ…。


9:INSTANT LUCK
マイナーコードの曲調は一歩間違えば、ヒジョーにキツくなりやすい。コードそのものが放つカミソリのエッジが活かせず、ただただ寂しさ漂うシミったれなフォークや、おナミダちょうだい演歌みたいで終わっちゃう。グチめいたボヤキを一切吐かず、ただただ前傾姿勢で突っ走るのが美しい。前傾姿勢のままフライング気味で突っ走るmattuがそれを証明してないか?

10:DAYS
本当に美しい事に出会った時に、無性に寂しい気持ちになるのは何故だ?この先に待ち受ける虚しさを超えていくには、どれだけの夜を過ごすんだ?劇的なこの曲の主人公は、このアルバムをアイしてしまうキミやオレだ。

11:NO WAY
ロックンロールバンドの命題、というか聴いた瞬間に「オレもやりてぇ!」と思わせるカッコ良さがあれば、そのバンドは(売れるじゃなく)一流。シンプルでビートが小気味良く、いい加減な聞き取りでもつい口ずさむ曲。そういう曲が生まれ、見よう見まねでバンドを組んだ経由があるからこそ、殺風景な今でもイカすバンドは(少数でも)存在する。ソコにもココにも。この曲を聴いてバンドを組むキッズがいる事をオレは信じてる。絶対に。

12:夜ニマギレ
この曲、この歌声を聴いて即ノウに浮かんだのはあのバンドのベースの方。ロックなら何でも知ってて、腕前はジョン・エントウィッスルばりなのに、1番好きなアイドルはディーディー・ラモーンという、最高過ぎるあの方。マネてるとかじゃない。アイしてるがゆえの残り香、残像のようなって事。ロックンロールが好き過ぎて仕方ないオトコたちの、満足出来ない鎮魂歌。

13:AN EXCUSE
ライブハウスの最初のトビラを開けると、あるいは楽屋にいると届く音。この音処理と抜群のアクセル使いで、一気に危険なゾーンまで昇りつめる。「やべ、もう始まってるじゃん」と焦らす。やべ、ビール足りないや…。

14:GENERATIONS
「ホンモノのオトコは裏声で歌う」という格言を、随所に散りばめてある深みあるグリッターハード爆弾。ただし未来感や宇宙観は無く、エロい。あるのは3人の吐き出す血ナマ臭い、鉛色した球体。オレは本音と呼ぶ。ここに歌われる「オマエ」と光景、時間軸を思い描いてみる。
浮かんだ!本音=欲望=セックス。狂おしくオンナを抱く夜に流れるノウ内サントラ!

15:R&R HEARTBREAK
実際のところ、(片思いにせよ)ロックンロールに失恋した試しがない。

16:CAN'T SELL MY PAIN
最終章はkojiのオルゴールギターの調べから幕を開ける。静かに静かに。幕開けを待たずに、張りつめた胸の想いを裂くmattuのスマッシュスネア。追いかけるmaruのベースはハートビート。鼓動とリンクしているんだ。柔らかだけど芯のある、意思の強い歌声。コーラスが心拍数を上げる。ドキドキしないか? ワクワクしないか? ロックンロールってコレだろ?安売りするアイなんて、鼻っからアイと呼ぶべきじゃないし、言うな!心底感じるイタミは、何度振り払おうとしても拭いきれんし、言うな!ソッとしまい込み、グッと堪え、唇を噛み締めて、ただただヤッちまえ!瞬間、大好きなThe Alarmの「Without The Fight」がアタマをよぎった。マイク・ピータースと同じ、ただただロックンロールが好きなだけなんだな、最低デ最高なアルバムを生み出した、ラングスティーンってヤツらは…。

聴き終えて。
ポール・シムノンが言ってたよ。「最高のロックを聴くとビールが欲しい」ってね。オレは6缶パック、全部飲み干したよ。とっくにカラッポ(笑)。だってさ、こんなにイカすロックンロール達を皆より先に聴いたんだよ?そりゃ飲んじゃうよ。当たり前じゃん、ラッキーだしハッピーなんだから。オレは得意気に言いふらすね。「ラングスティーンのアルバム聴いた?」「最高だから聴きなよ!」ってさ。そうやって伝われば、もう大丈夫さ。ロックンロールってさ、最高なんだよ。
 

HIROSHI HELL / HIGH LIFE
posted by poorcow at 16:07| お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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